良い生地の選び方(見分け方)

オーダースーツの生地を選ぶ時、何を基準にされますか?

100.jpgブランド、色使い、柄行、触った感触と様々です。

では,、生地の品質を選ぶのに何を基準にしますか?

メーカー、素材、またはSUPER ◎'Sの表示ですか?

スーツを購入する時、その思いや基準は様々です。

最近、既製品でも特にオーダーでは「SUPER◎'S」の表示を重視している傾向があるようです。

売り場の店員などから、「この生地は「SUPER100'S」だから、軽くて柔らかいですよ」と言われたことはありませんか?

 

メリノ種.jpgスーツ地は基本的にはウール(羊の毛)で織った生地で創られています。(最近では新合繊やポリエステルも多く出回っていますが・・・)

羊毛から紡いだ糸を織った布(服地)で洋服が創られます。

●そもそも毛とは?

繊維製品品質表示法で定められている毛とは羊毛のほかに山羊(カシミヤなど)やラクダの毛なども含まれます。

☆羊の毛には「ウール」と「ヘアー」があります

1、「ウール」は細く、撥水性と併せて吸湿性に優れ、表面はスケール(うろこ状)になっていて絡みやすく、繊維にはクリンプ(縮れ)あるため保温性が高く、柔軟で弾力性があります。

2、「ヘアー」は太く、粗くて弾力性が欠け、スケールが発達していなく絡みが乏しいため良質の糸を紡績できません。

 

☆それぞれの毛の紡ぎ方によって「紡毛糸」と「梳毛糸」に分けられます。

1紡毛糸(ウールン・スパン・ヤーン) 太くて短い羊毛を使用した糸で、手紡ぎで作られる糸の太さです。 ツイード、フランネルなどジャケットやコートに使用されます。

2梳毛糸(ウーステッド・スパン・ヤーン) 細くて長い羊毛の糸で、紡織機で紡がれます。 ほとんどのスーツ地が梳毛糸で織られています。

 

●スーツに適している羊毛について

ウシ科ヒツジ属羊は現在世界に約10億頭3000種類余が生息しています。 その中でも「メリノ種」が最もスーツ地のウーステッド(梳毛糸)として適しています。

主な産地はオーストラリアとニュージーランドです。

最も白く、最も細く、弾力性に富み、撥水性があるのに吸水性も高い。 クリンプ(縮れ)があるため、保温性が高く、紡績しやすい。 タンパク質で構成されているため、染めやすく色落ちしにくいことです。

このメリノ種のウールの中でもスーツ用の高級服地には欠かせないSUPER表示があります。 細くて長くよく縮れたものが良いとされています。

 

●SUPER表示(毛番手)

IWTO(国際羊毛機構)が使用羊毛(獣毛)の繊度によって定義をまとめ、ザ・ウールマークカンパニーが管理・運用を一任されています。

現在、スーパー(SUPER)表示はIWTOで統一されています。

☆繊度とは繊維(原毛)の太さをミクロン(μ)で表します。 

スーパー100.jpg 

SUPRE100'Sは原毛1キログラムを距離100キロメートルの長さの糸を作ることが出来るという意味で、数字が大きくなればなるほど細い糸(繊細な高品質)が出来るという指標です。 
☆使用羊毛の平均繊度(単位=μ ) (20μ以上はSUPER表示に該当しない) 
Super 80' S = 19.5 μ Siper 90'S = 19.0μ  Super100'S = 18.5μ
Super110'S = 18.0μ  Super120'S = 17.5μ  Super130'S = 17.0μ 
Super140'S = 16.5μ μ  Super150'S = 16.0μ  Super160'S = 15.5μ 
Super170'S = 15.0μ  Super180'S = 14.5μ Super190'S = 14.0μ  
Super200'S = 13.5μ  μμμ Super 210'S = 13.0μ    

☆獣毛(羊毛、カシミヤ、ラクダなど)あるいはシルクとの混紡織物にのみ認められています。

 

☆それぞれの繊度の許容範囲はプラス・マイナス0.25ミクロン。 ☆ストレッチ効果を出すためのエラスタン(ポリウレタン)や装飾目的の非ウール糸は5%以内の物についてはSuper表示を認める。

☆高級獣毛・シルク以外の他繊維との混紡織物については「SUPER」表示は断固認めていません。 数字が上がるほど細く、繊細で良い品質と言うことです。

SUPER150'S以上は最高品の部類に属します。 SUPER200'Sに至っては繊維が細すぎて糸番手を太くするか、目付けをしっかりしなければ縫製に耐えないのではないかと思います。

一般的なウール製品は25~30ミクロン程度の原毛を使用していますが、Super表示には該当しません。

既製品のスーツの場合は40~50番手程度の生地がよく使われています。

ちなみに、Super80's以下はSuper表示しません。

生地には羊毛の種類、生産地、原毛の太さ「SUPER表示」だけでなく、その原毛を紡いだ糸の太さ「糸番手」、その糸で織った布(生地)の「目付け」(糸の量、重さ)などが相まって品質の善し悪しが判断されます。

 

●良い生地の見分け方

1、指先で生地をつかんでください。

しっとりとした「ぬめり感」「ボリューム感」柔らかな滑らかさが感じられます。

良質の原毛のソフトさ、弾力性を触感で味わってください。

ガサガサとした固い触感は番手の太い生地か古い生地に多いです。

 

2、生地をつかんでネジってください。

(お店の方に断ってくださいね) 打ち込みのしっかりした生地はコシがあります。

柔軟性と反発力でしなやかに曲がり、穏やかに戻りシワの回復力が優れています。

コシのある良い素材を使った服は一晩ハンガーに掛けておくだけでシワは解消されます。

ペラペラした柔らかい生地は軽いでしょうが、シワの回復力は劣ることが多いです。

 

●良い生地の選び方

良い生地の条件にSuper表示を目安にすることは大切なことのひとつです。

スーツを買い求めるときには先述しましたように、Super表示を基準に選ぶのもひとつの方法です。

たとえば、Super100'sは原毛1キログラムを100キロメートルの長さの糸を作ることが出来るという意味で、「Super100's」や「Super120's」で示された数字は羊毛番手(毛番手)という指標です。

数字が大きくなればなるほど細い糸(繊細な高品質)が出来るとされています。

(注)Super100'sと表示がしてあると言って、その生地全部にSuper100'sの糸が使っているとは限らないのです。

たとえば、1%でもSuper100'sの素材が入っていればSuper100'sを表示しても良いのです。

無名のインポートブランドには時々このような粗悪な素材を使用しているものもありますから、信用のおける業者から求めてください。  

Super表示はあくまでこの長さまで引くことが出来るという理論上のことで、実際はこれをクリンプ(縮れ)によって50%~70%に縮めて糸を紡いだものを糸の太さで「糸番手」として表します。

 

●糸番手

糸の太さ1グラムを当り引ける長さが基準になります。

2/48 ・ 2/60 ・ 2/72 ・ 2/80   

2=双糸(2本撚り合せた糸)48メートル双糸 ...80メートル双糸 2/72×2/60のように縦糸と横糸の糸番手を表しています 。

数字が高いほど細くなり、きめ細やかで肌触りも滑らかな高級品になります。

業界ではSuper表示もさることながら、「糸番手」「打ち込み本数(目付け)」「重量」も評価します。

 

●目付け

織り密度(打ち込み本数)or重量 生地の幅150×100センチ四方の中で織られている縦糸と横糸で織った糸の本数です。

当然、多ければ多いほどしっかりとしたしなやかな良い生地になりますが、しっかりしすぎて固くなりやすいので、一概に本数が多いほど良いとは限りません。

一般的には1メートルあたりのグラム数で表しています Super120's表示の生地でも目付け(重量)が多いほど、糸をたくさん使っているということです。

 

■写真のパンチ見本にはSuper表示と1メートル当たりのグラム数が示されています

フィンテックスパンチ3_0003 (3).jpg私どもではこのSuper表示とグラム数を考慮して、品質の良しあしを判断します。

No FX87041(チェック柄)Super120 S 300g/mと表示しています。

Super120(17.5ミクロンの細い糸)の原毛を使い、メートル当たり300グラムに織り上っているということです。 かなりしっかりした目付でしなやかな生地です。

 

フィンテックスパンチ3_0001 (2).jpgNo Fx18300(FINEST OF FINe)Super150270/290 g/m

Super150(16.0ミクロン)の原毛を使い、メートル当たり270~290グラムに織り込んでいるということは、

先ほどのFX87041の生地より1.5ミクロンも細い糸を使用してるのに、生地の重量はメートル当たり10グラムしか変わりません。

それはこの生地が如何にSuper150の細い糸を多く使用しているということです。

フィンテックスパンチ3_0001.jpgNo FX18300 FINTEX OF LONDONのハンドステッチ風のロゴが1.5cm間隔で縦にストライプ柄にデコレートされています。

※ちなみに、某百貨店ではお仕立上り735,000円で展示されていました。

 

●また、原毛の太いものでも、甘く織れば柔らかく感じることがあります。

ハーフコート.jpgカシミヤなどがこの例です。

カシミヤは軽い!と言う観念がありますが、織を甘くすれば軽くなります。

カシミヤでも目付けの多い、重い生地ほど高級品になります。

品質の良いカシミヤほど重くて、柔らかく弾力性がありホッとする肌触りがします。

平均的な目付はジャケット用で380~420g/mコート用で480~600b/m

写真のハーフコートは「ホーランドシェリー」650g/m

※打ち込み本数は一般には発表していないことがありますが、メーカー直接に問い合わせれば教えてくれます。  

 

 

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